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【連載】ITIL4とDevOps(第3回)

Engage(エンゲージ)

サービス提供におけるつながりは、「サービス・プロバイダと顧客」のつながりだけではありません。

サービス・プロバイダ内、サービス・プロバイダ間、顧客とユーザとスポンサー等、あらゆる利害関係者間のつながりが強くなり、歯車がしっかりかみ合うことで早く回り、持続可能な関係を構築していきます。

このようなつながりをEngageと呼びます。

今回は、このEngageが原稿のITIL(R) 2011 editionのどこにあてはまるかを、代表的な管理プロセスをピックアップして解説します。(注:ITIL4の世界観ではなく、敢えて現行のバージョンにあてはめて説明します。)

運用でのEngage

  • サービスデスク

ユーザーとITサービスプロバイダをつなぐ窓口となるこの機能では、まさしく、様々なEngage活動がなされています。その主なものが「要求実現」と「インシデント管理」です。

  • 要求実現、インシデント管理

ユーザーからのサービス要求を受け付け、理解し、適切に処理(実現)し、満足いただいていることを確認したうえでクローズする活動の中で、ユーザーとの間でのEngageは必ず発生します。また、受け付けたメンバーと実現するメンバーが異なる場合は、その間での連携も発生するので、そこでもEngageが必要です。

  • 問題管理

インシデントの根本解決を行うには、原因調査のために複数のメンバーが集まって相談しながら進めることもありますし、サプライヤやユーザーとも連携することもあります。様々な登場人物や組織間でのEngageが必要です。

移行でのEngage

  • 変更管理

変更要求(RFC)の内容が簡易なものである場合(厳密には承認された手順があり、その手順に則って変更を実施すればリスクが低い場合)、その変更要求はすぐに現場で実現されます。これを可能にするには、変更を管理しているメンバーがその発生頻度や手順化の可否を判断し、手順を作成できるメンバーと連携して手順を作ってもらい、それを今度は適切な運用メンバーに説明して対応してもらうように引継ぎ、ユーザー側にも申請方法や申請ルートの変更について説明する・・・というようなEngage活動が必要となります。

もちろん、リスクの高い変更要求については、様々な立場や知識を持つメンバーに集まってもらって意見や情報を出し合う会議を開催することで、変更すべきかどうかの判断を進めることも大切であり、これもまた、高度なEngageが必要とされます。

  • サービスの妥当性確認およびテスト

テストは単体テストだけではありません。運用テストでは、実際に運用に耐えうるかを運用メンバーにも参加してもらってテストすべきです。更に、ユーザーテストでは、ユーザーにも参加してもらう必要があります。業務を離れてテストに参加してもらうには、しっかりした説明やその組織の上司の理解と承認を取り付ける必要もあり、やはりここにもEngageは欠かせません。

設計でのEngage

  • サービスレベル管理

サービスレベル要件をヒアリングし、SLAの交渉・合意を実現するには、サービスプロバイダは顧客との間で普段からEngage活動を実施し、その絆(信頼関係)を構築している必要があります。

月次報告もまた、そのためのEngage活動の一つと言えます。そこには、顧客との間だけではなく、月次報告に必要なデータを持つ運用現場のメンバーやサプライヤとの間のEngageも必要です。

戦略でのEngage

  • サービスポートフォリオ管理

数年後まで見通したサービスポートフォリオを作成するためには、顧客からの事業要件や外的環境、内的環境に耳を傾けながら、新規・継続・廃止のサービスについてROI(投資対効果)を分析しながら優先度をつけ、戦略を練っていく必要があります。

顧客との間のEngageはもちろんのこと、既存のサービス(継続や廃止対象)のROIを出すには、運用で得られるデータや成果、ユーザーからの声、サプライヤからの情報等も必要となります。

  • 事業関係管理

これはまさしく、Engageを表したプロセスと言えます。

改善でのEngage

改善にはあらゆる立場のメンバーがEngageし、知恵を出し合いながら一歩ずつ前へ進んでいく活動であることは言うまでもありません。

 

以上のように、Engageは全く新しい考え方ではなく、これまでも存在し、普段私たちが自然と行っている活動です。しかし、Engageを意識することが非常に大切です。

  • ついつい、日々の業務に終われてEngageをおろそかにしてしまいがちではないでしょうか?
  • プロセスに則って仕事をすればそれで充分だ、と考えてしまいがちではないでしょうか?

サービスの中心には人があります。人と人、組織と組織の間のつながりを意識してより良くしていくことで、サービスの価値があがり、ビジネス成果へとつながっていきます。

DevOpsをスムーズかつシームレスに回す間滑油が、まさしくこのEngage活動と言っても過言ではありません。今後も、ITIL4を少しずつ読み解きながら、ITIL4に新たに加えられたDevOpsについて解説していきます。

「【連載】ITIL4とDevOps(第1回)」はこちら。

「【連載】ITIL4とDevOps(第2回)」はこちら。

「ITIL 4 概要」の資料を公開しました。こちらからダウンロード可能です。

(itSMFセミナー、PMIフォーラムでの講演とほぼ同じ内容です。)

Tags
アジャイル, ITIL4, リーンIT
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