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【連載】ITIL4とDevOps(第4回)

価値の共創 (Value co-creation)

ITIL 4 で「サービス」の定義が進化したのをご存知でしょうか。

ITIL(R) 2011 editionではサービスは以下のように定義されていました。
「顧客が特定のコストやリスクを負わずに達成することを望む成果を促進することによって、顧客に価値を提供する手段」(出典「ITIL 2011 edition 用語集」)
つまり、サービスプロバイダが顧客に対して価値を提供するという、一方通行の価値提供の表現でした。

これが、ITIL 4では次のように変更されました。
「顧客が特定のコストおよびリスクを管理することなく、望んでいる成果を得られるようにすることで、価値の共創を可能にする手段である」(出典「ITIL 4 ファンデーション 用語集」)

価値は、サービスプロバイダと顧客(そして関係者)が共に創り上げていくものである、という双方向の価値創造の表現へと進化しました。

アジャイル開発では、顧客の最新の背景やビジネス要件に柔軟かつ迅速に対応することが強調されますね。これを実現するには、顧客と開発者が互いに意見を交換しながら、最適解を求めていく姿勢が必要となります。これを更に運用にまで拡張してより現実的なものとして昇化したのがDevOpsと言えます。開発と運用が顧客と一体となり、互いに本音で語り合いながら、どうすれば共通の目的(=ビジネスの成功)を実現できるかを考え、そのための最善策を追求していくことは、「価値の共創」そのものと言えます。

サービス・ドミナント・ロジック (Service Dominant Logic)

この「価値の共創」の背景にあるのが、「サービス・ドミナント・ロジック (S-D Logic)」という考え方です。これは、マーケティング研究者であるロバート・F・ラッシュとステファン・L・バーゴによって2004年に提唱された考え方です。

簡単に言えば、従来は次のように考えられていました。
「商品やサービスの価値は、その中に埋め込まれている。つまり、作り手や提供者が価値を決めており、それを得るためには、物々交換や対価を支払うという経済活動が発生する。」(これをグッズ・ドミナント・ロジック(G-D L)と呼びます。)

これに対してサービス・ドミナント・ロジックでは、次のように考えます。
「商品もサービスも、顧客が使って体験してみて初めて、価値があるかどうかがわかる。また、顧客によって価値があるかどうかが異なってくる。」

ということは、顧客にとっての価値を作り出すには、顧客に使ってもらい、その感想をフィードバックしてもらい、どこに価値があるのか、どこを伸ばせばもっと価値が出るのか、どこに不満があって改善すべきなのか、を短いサイクルで回し続けることで、常に顧客の求める価値(更には、期待以上の価値)を生み出し続けることができるようになります。それは、一方的な「提供」ではなく、双方向に意見を交えながらの「共創」と言えます。

このように、ITIL 4では、(もちろんこれまでにも内包されていたサービス指向の考え方を踏襲しつつも)より速く、より高い価値を生み出すために、最新のDX事例を参考にして、リーンやアジャイルやDevOpsの考え方や手法が取り込まれています。

今後も、ITIL4を少しずつ読み解きながら、ITIL4に新たに加えられたDevOpsについて解説していきます。

「【連載】ITIL4とDevOps(第1回)」はこちら。

「【連載】ITIL4とDevOps(第2回)」はこちら。

「【連載】ITIL4とDevOps(第3回)」はこちら。

「ITIL 4 概要」の資料を公開しました。こちらからダウンロード可能です。

(itSMFセミナー、PMIフォーラムでの講演とほぼ同じ内容です。)

Tags
アジャイル, ITIL4, リーンIT